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【信頼される作業療法士】患者さんとの絆を深めるコミュニケーションの心得

「リハビリの技術には、ある程度自信がある。でも、なんだか患者さんとの間に、見えない壁がある気がする…」
「もっと心に寄り添った関わりがしたいのに、どうすれば本音を話してもらえるんだろう…」
「一生懸命説明しているつもりなのに、『ちゃんと伝わっているのかな?』って、いつも不安になる…」

作業療法士として、日々多くの患者さんや利用者さんと向き合っているあなた。
その方の生活を、人生を、より良いものにするために、「信頼関係」が何よりも大切な土台であると、痛いほど感じていますよね。

信頼があれば、患者さんは安心してリハビリに取り組んでくれる。
信頼があれば、ポロっと本音や、生活の中での本当の困りごとを話してくれる。
信頼があれば、私たちが提案するアプローチも、前向きに受け入れてくれる。

…頭では、そう分かっているのに。

なかなか心を開いてくれない患者さんを前に、自分の無力さを感じたり、
コミュニケーションのすれ違いから、思わぬ誤解を招いてしまったり、
「私の関わり方、何がいけないんだろう…」と、自信をなくしてしまったり。

そんな風に、患者さんとのコミュニケーションに、一人で悩んでいませんか?

大丈夫です。コミュニケーションは、天性の才能ではありません。
それは、正しい「心得」と「技術」を学び、意識し、実践することで、誰でも必ず上達させることができる、プロフェッショナルとしての重要なスキルなのです。

この記事では、そんな「信頼されるOT」を目指すあなたのために、

  • なぜ、信頼関係がリハビリの「土台」なのか
  • 言葉以上に雄弁な「非言語コミュニケーション」の力
  • 相手の心の扉を開く「聴き方」の技術
  • 専門的な内容を「分かりやすく伝える」技術

といった、患者さんとの絆を深めるための具体的なコミュニケーションの心得を、徹底的に解説していきます。

この記事を読み終えたとき、あなたはコミュニケーションへの苦手意識が晴れ、「こうすれば、もっと心に寄り添えるんだ!」という具体的な方法と、明日からの臨床が楽しみになるような、温かい自信を手にしているはずです。


目次

なぜ?リハビリ効果を左右する「信頼関係」という名の土台

「コミュニケーションも大事だけど、まずはリハビリの技術でしょ?」そう思うかもしれません。しかし、どんなに優れた技術も、それを乗せる「信頼関係」という土台がなければ、その効果は半減してしまいます。なぜ、それほどまでに信頼関係が重要なのでしょうか。

安心感が、リハビリへの「意欲」を引き出す

病気や障害を抱え、不安の中にいる患者さんにとって、「この人なら信頼できる」「安心して任せられる」と感じられることは、リハビリに取り組む上での大きな心の支えとなります。
OTへの安心感は、「この人のためなら、少し辛くても頑張ってみよう」という、前向きな意欲を引き出し、リハビリへの主体的な参加を促します。

本音が、リハビリの「的」を絞る

信頼関係が築けていなければ、患者さんは「こんなこと言ったら、OTさんにどう思われるかな…」と、本当の悩みや希望を隠してしまうことがあります。
「実は、家でトイレに行くのが一番大変なんだ」
「本当は、もう一度〇〇がしたい」
そうした「本音」の情報は、私たちが本当に取り組むべき課題、つまりリハビリの「的」を正確に絞るための、最も重要な情報なのです。

納得感が、「継続」に繋がる

リハビリは、OTと患者さんの協同作業です。
「なぜ、このリハビリが必要なのか」を、患者さん自身が心から「納得」して取り組むことが、効果を最大化し、そして退院後もセルフケアを「継続」していくための鍵となります。
その納得感は、OTへの信頼なくしては生まれません。

あなたのコミュニケーションの一つひとつが、この大切な「土台」を築いているということを、決して忘れないでください。


言葉以上に伝わる!信頼を築く「非言語コミュニケーション」5つの鍵

「何を話すか」も大切ですが、それ以上に「どういう態度で接するか」が、相手に与える印象を大きく左右します。言葉以外の「非言語」の部分を意識するだけで、あなたの印象は劇的に変わります。

優しい眼差しと、適切なアイコンタクト

目は、あなたの「心」を映す鏡です。

  • 心がけ: 威圧感を与えない、穏やかで温かい眼差しを意識しましょう。相手が話している時は、じっと見つめすぎず、時折口元などに視線を移しながら、「あなたの話を真剣に聞いています」というメッセージを込めて、優しく目を合わせます。

「聴く姿勢」を全身で表現する

あなたの体は、言葉以上に多くのことを語っています。

  • 心がけ: 相手の方に体ごとおへそを向け、少し前傾姿勢になる。腕や足を組むのはNG。相手の話に合わせて、深く、あるいは軽く頷く。この「聴く姿勢」が、相手に安心感を与えます。

相手を尊重する「パーソナルスペース」

人には、心地よいと感じる「距離感」があります。

  • 心がけ: 近づきすぎて、相手を緊張させていませんか?相手の表情や仕草を観察し、後ずさりしたり、身を固くしたりするようなら、少し距離を取りましょう。身体的な接触(トランスファー介助など)の前には、必ず一声かける配慮も大切です。

安心感を与える「声のトーン」と「話すスピード」

話の内容だけでなく、「声」そのものが持つ力も意識しましょう。

  • 心がけ: 高すぎず、低すぎず、落ち着いた、穏やかな声のトーンを意識します。そして、相手のペースに合わせて、少しゆっくり、はっきりと話すこと。特に、高齢の方や不安が強い方には、この配慮が非常に重要です。

プロとしての「清潔感」

医療専門職として、清潔感のある身だしなみは、信頼の基本です。

  • 心がけ: シワのないユニフォーム、整えられた髪、短く切った爪…。当たり前のことですが、この「当たり前」が、相手に「この人は、プロとして信頼できる」という無言のメッセージを伝えます。

「もっと話したい」を引き出す!相手の心の扉を開く「傾聴」の技術

「聞く」と「聴く」は違います。ただ音として聞くのではなく、相手の心に耳を傾ける「傾聴(アクティブリスニング)」こそが、信頼関係の鍵です。ここでは、その具体的な技術を解説します。

魔法の「相槌」と「頷き」

単調な「はい、はい」ではなく、バリエーション豊かな相槌と頷きで、会話にリズムと深みを生み出しましょう。

  • 実践法: 「なるほど」「そうだったんですね」「それで?」「へぇ!」といった言葉と、話の内容に合わせた頷きを組み合わせることで、「あなたの話に、私はこんなに興味を持っていますよ!」という気持ちを伝えます。

信頼を深める「繰り返し(バックトラッキング)」

相手の言った大切な言葉を、そのまま繰り返す技術です。

  • 例: 患者さん「最近、夜になると不安で眠れないんです…」
    あなた「夜になると、不安で眠れなくなってしまうんですね」
  • 効果: 「私の話を、ちゃんと正確に理解してくれている」という安心感を相手に与え、より深い話を引き出すきっかけになります。

心に寄り添う「感情の言語化」

事実だけでなく、その奥にある「感情」を言葉にして返すことで、共感の度合いが格段に深まります。

  • 例: 患者さん「やっと、一人で着替えができるようになったんですよ!」
    あなた「(笑顔で)それは本当に嬉しいですね!頑張った甲斐がありましたね!」
  • 効果: 「この人は、私の気持ちを分かってくれる」と感じてもらえ、心の距離がぐっと縮まります。

技術④:「沈黙」を恐れない勇気

会話が途切れた時、焦って何か話そうとしていませんか?
「沈黙」は、相手が自分の気持ちや考えを整理している、大切な時間かもしれません。
穏やかな表情で、相手が次の言葉を見つけるのを、じっと待ってあげる。その「待つ姿勢」が、深い信頼に繋がります。


「なるほど!」を引き出す!OTの専門性を分かりやすく「伝える」技術

信頼関係が築けたら、次はこちらの専門知識や提案を、相手に分かりやすく伝え、納得してもらう技術が必要です。

「専門用語」は、今日から封印!

「ROM」「ADL」「高次脳機能障害」…私たちにとっては日常用語でも、患者さんにとっては外国語です。徹底的に、相手が分かる平易な言葉に「翻訳」しましょう。

  • 例: ×「上肢のROM訓練をしましょう」→ 〇「腕がもっとスムーズに動くように、一緒に動かす練習をしましょうか」
  • ポイント: 常に「この言葉で、小学生にも伝わるかな?」と自問自答する癖をつけましょう。

「例え話」と「視覚情報」でイメージを共有

言葉だけでは伝わりにくいことは、身近なものに例えたり、図や絵を描いたり、実際にやってみせたりと、五感に訴える工夫をしましょう。

  • 例: 「このくらいのお茶碗を持つ感じで、力を入れてみてください」
    「家の手すりは、このくらいの高さに取り付けると、立ちやすいですよ(簡単な図を描く)」
  • 効果: 相手は具体的にイメージしやすくなり、理解度が格段に上がります。

「伝わったか」の確認を忘れずに

どんなに丁寧に説明しても、思い込みは禁物です。

  • 確認フレーズ:
    • 「ここまでで、何か分かりにくいところはありましたか?」
    • 「もしよろしければ、今日お伝えしたことで、一番大切だと思われたことを、一つ教えていただけますか?」
  • 効果: 相手の理解度を確認し、誤解があればその場で修正できます。

「一緒に考える」スタンスで、主体性を引き出す

一方的に説明して終わり、ではなく、「〇〇さんは、どう思いますか?」「AとB、どちらの方法が、ご自分には合っていると感じますか?」と、常に相手の意向を確認し、意思決定のプロセスに巻き込んでいきましょう。
「自分で選んだ」「一緒に決めた」という感覚が、リハビリへの主体的な参加意欲を最大限に引き出します。


まとめ:コミュニケーションは、OTの専門性を輝かせる最強のスキル

作業療法士としてのあなたの素晴らしい知識や技術。
それを、本当に患者さんの力に変えることができるかどうかは、あなたと患者さんとの間に、どれだけ温かく、そして強固な「信頼関係」という名の絆を築けるかにかかっています。

コミュニケーションは、決して生まれつきの才能ではありません。
それは、この記事でご紹介したような「心得」と「技術」を、日々の臨床の中で意識し、実践し、そして少しずつ磨いていくことで、誰もが高めることができる、作業療法士にとって最強の専門スキルなのです。

もし、あなたが、
「もっとコミュニケーションスキルを高めたい」
「患者さんともっと良い関係を築けるようになりたい」
「今の職場では、じっくり患者さんと向き合う時間が取れない…」
と感じているなら、それはあなたの成長意欲の表れです。

コミュニケーション研修に力を入れている職場や、患者さん一人ひとりとの関わりを大切にする理念を持つ職場に、環境を変えてみるのも、あなたのスキルとやりがいを飛躍させるための、一つの有効な手段かもしれません。
そんな時は、リハビリ職場の内部事情や、各施設の文化に詳しいキャリアアドバイザーに相談してみるのも良いでしょう。彼らは、あなたが理想とする関わりを実現できる場所を見つける手助けをしてくれるはずです(無料相談が可能です)。

さあ、今日から、あなたのコミュニケーションに「信頼」という名の処方箋を。
患者さんとの温かな絆の中で、あなたの作業療法士としての価値を、さらに輝かせていきましょう。

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