「この求人、給与は良さそうだけど、実際のところどうなんだろう…」 「残業代って、ちゃんと出るのかな…?有給休暇も取りやすいのかな…?」 「面接で、お金や待遇のことばっかり聞いたら、印象悪くなっちゃうかな…」
作業療法士のあなたが転職活動をする上で、給与や休日、福利厚生といった**「待遇面」**は、仕事内容ややりがいと同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に気になる重要なポイントですよね。 どんなに魅力的な仕事内容でも、待遇が悪ければ、モチベーションを維持するのは難しいですし、生活の安定にも関わってきます。
でも、いざ面接の場になると、 「お金の話ばかりするのは、なんだか気が引ける…」 「『がめつい人だ』と思われたらどうしよう…」 「こんなこと聞いたら、不採用になるんじゃないか…」 そんな風に、待遇に関する質問をためらってしまい、結局聞けずじまいで終わってしまう。 そして、入職後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔する…。 そんな経験、ありませんか?
この記事では、そんなあなたの悩みを解消するために、面接で「給与・待遇」について、失礼なく、かつ効果的に質問するための具体的な方法と、絶対に聞いておくべき質問リストを、分かりやすく解説していきます。
**面接は、企業があなたを選ぶ場であると同時に、あなたが企業を選ぶ「対等な情報交換の場」**なのです。 遠慮したり、聞きづらいからと諦めたりする必要は全くありません。 むしろ、入職後のミスマッチを防ぎ、あなたが納得して、気持ちよく働き始められるようにするためには、賢く質問し、必要な情報をしっかりと引き出すことが不可欠なのです。
この記事を読み終えたとき、あなたは待遇に関する質問へのためらいがなくなり、「こうやって聞けばいいんだ!」という自信と、後悔しない職場選びのための強力な武器を手にしているはずです。

「給料のこと、面接で聞いてもいいの?」OTが抱える待遇質問へのためらい
まずは、多くの人が抱える「面接でお金や待遇の話をしてもいいの?」という疑問や、その背景にある心理について考えてみましょう。その「ためらい」の正体を知ることが、一歩踏み出すための準備になります。
お金の話はタブー?「がめつい」と思われたくない心理
「お金の話ばかりする人は、品がない」 「仕事は、お金のためだけにするものではない」 日本では、特にお金に関する話題をオープンにすることに対して、どこかネガティブなイメージや、タブー視する風潮が残っているかもしれません。 そのため、「面接で給与や待遇のことを根掘り葉掘り聞いたら、『お金のことしか考えていない、がめつい人だ』と思われてしまうのではないか…」という心理的なブレーキがかかってしまうのです。
聞きたいけど聞けない…聞き方次第で印象が悪くなる不安
「もちろん、給料や休日のことはすごく気になる!でも、どんな風に聞けば、失礼にあたらないんだろう…」 「聞き方を間違えたら、面接官の心証を悪くして、不採用に繋がるんじゃないか…」 質問したい気持ちはあるけれど、適切な聞き方が分からず、結果的に質問を諦めてしまう。これもよくあるパターンです。 確かに、あまりにも直接的で、配慮のない聞き方をしてしまうと、マイナスな印象を与えてしまう可能性も否定できません。
でも、聞かずに後悔するのはもっと嫌!入職後のミスマッチを防ぎたい
しかし、考えてみてください。 待遇面での疑問や不安を抱えたまま入職し、後になって「聞いていた話と違う!」「こんな条件じゃ、やっていけない!」と後悔する方が、よっぽど辛いのではないでしょうか? 入職後のミスマッチは、あなたにとっても、そして採用した企業側にとっても、不幸な結果を招きます。 お互いが納得して、気持ちよくスタートを切るためには、入職前に疑問点をすべて解消しておくことが、何よりも大切なのです。
面接は「対等な情報交換の場」!遠慮せず、賢く質問する重要性
ここで、面接に対する考え方を少し変えてみましょう。 面接は、企業が一方的にあなたを評価する場ではありません。 それは、**あなたと企業が、お互いについて理解を深め、将来的に良いパートナーになれるかどうかを見極めるための、「対等な情報交換の場」**なのです。
あなたは、自分のスキルや経験をアピールすると同時に、企業に対して「この職場で、自分の能力を活かし、安心して働き続けることができるだろうか?」という視点で、必要な情報を得る権利があります。 待遇に関する質問も、その情報収集の一環であり、決して失礼なことではありません。 大切なのは、**「聞き方」と「タイミング」**です。
求人票だけでは分からない!給与・待遇の「リアル」を引き出す質問の基本
「よし、勇気を出して質問してみよう!」と思っても、やみくもに聞けば良いというわけではありません。相手に失礼な印象を与えず、かつ本当に知りたい情報を引き出すためには、いくつかの基本的なポイントを押さえておく必要があります。

①タイミングを見極める!質問は「逆質問」の時間にまとめて
給与や待遇に関する質問は、面接の序盤や中盤で切り出すのは避けた方が無難です。あなたのスキルや経験、仕事への意欲などを十分に伝えた後、面接の最後に設けられる「何か質問はありますか?(逆質問)」の時間に、まとめて質問するのが一般的なマナーであり、最もスムーズな流れです。
- なぜ?: 面接官も、あなたの人物像や能力をある程度把握した上で、待遇に関する質問に答える方が、より具体的で適切な回答をしやすいためです。また、最初からお金の話ばかりでは、仕事内容への関心が薄いと誤解される可能性もあります。
②聞き方を工夫する!直接的すぎず、相手への配慮を忘れずに
「給料いくらですか?」「休みちゃんと取れます?」といった、あまりにも直接的で、ぶっきらぼうな聞き方は避けましょう。相手への敬意と配慮を忘れず、丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。
- 工夫例:
- 「恐れ入りますが、給与について、もう少し詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?」
- 「差し支えなければ、休暇制度の運用状況について、お聞かせいただけますでしょうか?」
- 質問の前に、「もしよろしければ」「差し支えなければ」といったクッション言葉を添える。
③「なぜ知りたいか」を添える!質問の意図を伝えて納得感を高める
単に質問を投げかけるだけでなく、「なぜその情報を知りたいのか」という質問の意図や背景を伝えることで、面接官もあなたの関心事を理解しやすく、より建設的な対話に繋がりやすくなります。
- 例: 「今後のキャリアプランを考える上で、昇給制度について詳しく知りたいのですが…」 「ワークライフバランスを大切にしたいと考えており、有給休暇の取得状況についてお伺いできればと存じます」
- 効果: あなたが真剣にその職場で働くことを考えている、という誠実な姿勢が伝わり、面接官もより丁寧に答えてくれる可能性が高まります。
④回答はメモを取る!後で冷静に比較検討するための記録
面接官からの回答は、必ずメモを取るようにしましょう。複数の企業と面接を進める場合、後になって「あれ、どこの会社がなんて言ってたっけ…?」と混乱してしまうことがあります。
- メモのポイント: 具体的な数字、制度の名称、担当者の名前など、重要な情報は正確に記録する。
- 効果: 面接後に、各社の条件を冷静に比較検討するための、客観的な材料となります。また、メモを取る姿勢は、真剣に話を聞いているという印象も与えます。
これらの基本を押さえた上で、次の章でご紹介する具体的な質問リストを活用してみてください。

【給与編】絶対聞くべき質問リスト3選!あなたの「価値」に見合うか確認
まずは、生活の基盤となる「給与」に関する質問です。あなたの経験やスキルが、その職場でどのように評価され、報酬として反映されるのか、しっかりと確認しましょう。

質問①:「給与の具体的な内訳(基本給、諸手当)と、算出根拠について教えていただけますでしょうか?」
- なぜ聞くべきか?: 求人票に記載されている「月給〇〇万円~」という総支給額だけでは、その中身が分かりません。安定的な収入のベースとなる**「基本給」がいくらなのか、そしてどのような「諸手当」**(資格手当、役職手当、住宅手当、家族手当など)が含まれているのか、その内訳を把握することが重要です。また、その金額がどのような根拠(経験年数、スキル、役職など)で算出されているのかを知ることで、あなたの評価のされ方が見えてきます。
- 深掘りポイント:
- 「**固定残業代(みなし残業代)**は含まれていますか?含まれている場合、何時間分で、それを超えた場合の残業代は別途支給されますか?」
- 「資格手当について、対象となる資格や金額を教えていただけますか?」
- 「住宅手当や家族手当の支給条件や金額について、詳しくお伺いできますか?」
質問②:「昇給制度について、具体的な評価基準や昇給実績(平均的な昇給額や頻度など)を教えていただけますか?」
- なぜ聞くべきか?: 今の給与だけでなく、将来的にどれくらい年収がアップしていく可能性があるのかを知ることは、長期的なキャリアプランを考える上で非常に重要です。昇給の仕組みや、実際にどれくらいの昇給が見込めるのかを具体的に確認しましょう。
- 深掘りポイント:
- 「昇給は、年に何回、どのような評価制度に基づいて行われますか?」
- 「評価の際に、特に重視される項目(例: 臨床スキル、チームへの貢献度、後輩指導など)は何でしょうか?」
- 「差し支えなければ、昨年度の平均的な昇給額や昇給率について、教えていただけますでしょうか?」
- 「勤続年数以外で、昇給に繋がる要素(例: 資格取得、役職への昇進など)はありますか?」
質問③:「賞与(ボーナス)について、昨年度の支給実績(平均支給月数など)や、算定基準について教えていただけますか?」
- なぜ聞くべきか?: 賞与(ボーナス)は、年収を大きく左右する重要な要素です。支給の有無だけでなく、その実績や算定方法を把握しておくことで、より正確な年収見込みを立てることができます。
- 深掘りポイント:
- 「賞与は、年に何回、合計で基本給の何か月分程度が支給されるのが平均的でしょうか?(昨年度の実績など)」
- 「賞与の金額は、個人の業績や評価によって、どの程度変動しますか?」
- 「会社の業績によって、支給額が大きく変わることはありますか?」
これらの質問を通して、あなたの働きが、給与という形でどのように評価されるのか、その「リアル」な部分をしっかりと見極めましょう。
【待遇・働き方編】後悔しないために!絶対聞くべき質問リスト4選
給与と並んで重要なのが、働きやすさや将来設計に関わる「待遇」です。残業、休日、退職金、スキルアップ支援など、長く安心して働き続けるために、見逃せないポイントを質問で明らかにしましょう。
質問④:「残業時間について、月平均〇時間とのことですが、繁忙期や時期による変動、また残業代の具体的な申請・支給方法について教えていただけますか?」
(記事No.17で詳述した内容と重複しますが、待遇確認の最重要項目なので再掲・要約します)
- なぜ聞くべきか?: ワークライフバランスを考える上で、実際の労働時間は非常に重要です。求人票の数字だけでなく、残業の実態と、それに対する正当な対価(残業代)が支払われるかを確認します。
- 深掘りポイント: 残業が発生しやすい業務内容、サービス残業の有無、36協定の遵守状況(時間外労働の上限規制など)。
質問⑤:「有給休暇の取得状況について、部署全体の平均的な取得日数や、連休取得の可否、取得しやすい雰囲気かなどを教えていただけますでしょうか?」
(記事No.17で詳述した内容と重複しますが、こちらも重要なので再掲・要約します)
- なぜ聞くべきか?: 休日の「質」に関わる重要なポイントです。制度があるだけでなく、実際に気兼ねなく休暇を取得できる環境かどうかを見極めます。
- 深掘りポイント: 有給休暇の申請理由を聞かれるか、計画年休制度はあるか、他のスタッフの取得状況など。
質問⑥:「退職金制度について、制度の有無、種類(一時金、企業年金など)、勤続何年から対象となるか、お伺いできますでしょうか?」
(記事No.47で詳述した内容と重複しますが、長期的な視点で必須なので再掲・要約します)
- なぜ聞くべきか?: 長く勤めることを考えた場合、退職金は老後の生活設計に関わる重要な要素です。制度の有無と概要は必ず確認しましょう。
- 深掘りポイント: 具体的な計算方法の概要(可能なら)、企業型確定拠出年金(DC)や確定給付企業年金(DB)の導入状況など。
質問⑦:「研修制度や資格取得支援について、具体的な内容や費用補助、利用実績などを教えていただけますでしょうか?」
- なぜ聞くべきか?: 作業療法士としてスキルアップし、キャリアを形成していく上で、職場のサポート体制は非常に重要です。どのような学びの機会が提供され、それが実際に活用されているのかを確認します。
- 深掘りポイント:
- 「院内研修の頻度や内容はどのようなものがありますか?」
- 「外部研修への参加は推奨されていますか?また、その際の**費用補助(参加費、交通費、宿泊費など)**はありますでしょうか?年間の上限額などはありますか?」
- 「認定作業療法士や専門作業療法士などの**資格取得を支援する制度(受験料補助、研修参加奨励など)**はありますか?また、実際に取得されている方はいらっしゃいますか?」
- 「学会発表などへの支援はありますか?」
これらの質問を通して、あなたがその職場で、経済的にも、時間的にも、そしてキャリア的にも、安心して長く働き続けられるかどうかを、しっかりと見極めていきましょう。
賢い質問で「納得のいく選択」を!自信を持って、より良い労働条件を勝ち取ろう
面接での待遇に関する質問は、決してタブーではありません。 むしろ、あなたが真剣にその職場で働くことを考え、入職後のミスマッチを防ぎたいという誠実な姿勢の表れと捉えることができます。
大切なのは、相手への配慮を忘れず、適切なタイミングで、賢く質問すること。 そして、得られた情報を元に、あなた自身の「転職の軸」と照らし合わせ、納得のいくまで比較検討することです。
もし、自分一人で質問したり、情報を整理したりするのが難しいと感じるなら、キャリアの専門家である転職エージェントに相談してみるのも非常に有効な手段です。 彼らは、あなたに代わって企業に待遇面を確認してくれたり、給与交渉をサポートしてくれたりすることもあります。また、一般には公開されていない、より好条件の求人情報を持っている可能性もあります(多くの場合、無料で相談できます)。
この記事でご紹介した質問リストが、あなたの「後悔しない職場選び」の一助となり、あなたが自信を持って、より良い労働条件を勝ち取り、作業療法士として、そして一人の人間として、充実したキャリアを歩んでいくための力となることを願っています。 あなたの転職活動の成功を、応援しています!